この時代に思い出したい『坂の上の雲』のメッセージ

今の時代は、ある意味では混迷の時代といえるかもしれません。バブル崩壊から今日まで「失われた30年」といわれ、今なおその余波の中にいます。少子高齢化、人手不足などの問題点を抱え、ともすれば自己中心に陥りがちで、「公と私」の精神バランスがくずれつつあるように感じます。
『坂の上の雲』には「公と私」の精神を健康なかたちで持っていた明治人が多く登場します。司馬遼太郎は「維新後、日露戦争までの三十余年は、文化史的にも精神史のうえからでも、じつに特異」だと指摘しています。
この展示で、『坂の上の雲』を通じて我々が忘れがちなさまざまなメッセージを感じとってもらえれば、と思い企画しました。
展示ケース壁面で、登場人物たちの行動や言動をその場面の挿し絵とともに取り上げます。ケース床面には、自筆題字(初公開)、自筆原稿のほか、『坂の上の雲』文庫新装版装幀画(風間完画)、秋山真之が米西戦争を観察して海軍に提出した報告書(一部、複製)、正岡子規が上京して病没するまで支えた陸羯南(くがかつなん)が社長をつとめた新聞「日本」、真之の友人で海軍少佐広瀬武夫の書簡などを展示します。
1968~1972年に産経新聞で連載されたこの作品は、異例なことに1999年から再掲載されました。初回と再掲載それぞれの第1回新聞切り抜きも展示します。
【主な展示品】
自筆題字「坂の上の雲」初公開
自筆原稿「騎兵」(1)初公開、「あとがき」(一)
『坂の上の雲』文庫新装版装幀画1~8巻(風間完画)
「いま読み返す『坂の上の雲』」第1回新聞切り抜き
新聞「日本」(1894年11月24日) など
これまでの企画展開く
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          司馬作品 戦国・幕末を挿し絵でみる 
 2025.4.28~2025.10.26
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          企画展「司馬遼太郎『空海の風景』」 
 2024.7.22~2025.4.27
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          司馬作品から浮かぶ大坂城 
 2024.2.20~2024.7.21
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          企画展「作家の道へ―司馬遼太郎と「近代説話」」 
 2023.5.16~2024.2.18
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          生誕100年 司馬遼太郎の視点 
 2022.11.1~2023.5.14
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          企画展「色紙と自筆原稿でみる『司馬遼太郎が考えたこと』」 
 2022.5.16~2022.10.30
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          企画展「『胡蝶の夢』――近代医学を拓いたひとびと」 
 2021.11.1~2022.5.15
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          『峠』――河井継之助は何を見据えたか 
 2021.3.16~2021.10.31
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          歳三と竜馬はどこですれ違ったか――。『燃えよ剣』と『竜馬がゆく』 
 2020.9.15~2021.3.14
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          企画展「司馬遼太郎と城」 
 2020.6.2~2020.9.13
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          『坂の上の雲』に見る武人の教養――広瀬武夫の〝最期の手紙〟にちなんで 
 2019.10.29~2020.4.2
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          企画展「司馬遼太郎が見た世界」 
 2019.5.8~2019.10.27
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          企画展『梟の城』――あらためての忍者の世界 
 2018.10.30~2019.5.6
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          企画展 司馬遼太郎の自筆原稿と対話する 
 2018.7.24~2018.10.28
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          企画展『翔ぶが如く』―西郷隆盛をめぐるひとびと 
 2018.1.23~2018.7.22
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          企画展『関ケ原』 
 2017.8.1~2018.1.21
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          司馬遼太郎の軌跡3『街道をゆく』 
 2017.3.7~2017.7.30
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          企画展「『坂の上の雲』にみる陸羯南」 
 2016.11.1~2017.3.5
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          司馬遼太郎の軌跡2 『竜馬がゆく』~『坂の上の雲』『花神』 
 2016.4.19~2016.10.30
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          司馬遼太郎の軌跡 1「ペルシャの幻術師」~『竜馬がゆく』 
 2015.10.27~2016.4.17
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          『世に棲む日日』――吉田松陰と高杉晋作 
 2015.5.18~2015.10.25
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          『城塞』-司馬遼太郎が描いた大坂の陣 
 2014.10.28~2015.5.17
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          『播磨灘物語』と黒田官兵衛 
 2014.3.25~2014.10.26
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          「司馬遼太郎とモンゴル」展 
 2013.7.30~2014.3.23
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          「連載・出版50年『竜馬がゆく』」展 
 2012.10.30~2013.7.28
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          「司馬遼太郎が伝えた色紙のメッセージ」展 
 2012.5.29~2012.10.28
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          「『坂の上の雲』に描かれた日本海海戦」展 
 2011.11.1~2012.5.27
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          『新選組血風録』展 
 2011.5.31~2011.10.30
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          「登場するすべての人物から『坂の上の雲』を観る」展 
 2010.11.2~2011.5.29
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          「司馬遼太郎のメモでみる『アメリカ素描』『ニューヨーク散歩』」展 
 2010.3.2~10.31
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          「『坂の上の雲』が書かれた書斎風景とその時代」展 
 2009.6.23.~2010.2.28
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          「司馬遼太郎が描いた絵画」展 
 2008.12.16~2009.6.21
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          『街道をゆく』―司馬遼太郎が歩いた東京 
 2008.4.22~2008.12.14
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          「司馬遼太郎と城を歩く」展 
 2007.10.30~2008.4.20
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          『二十一世紀に生きる君たちへ』 展 
 2007.4.17~2007.10.28
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          『空海の風景』展 
 2006.10.31~2007.4.15
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          「『竜馬がゆく』―その軌跡をゆく」展 
 2006.5.30~2006.10.29
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          「『妖怪』から『功名が辻』まで―司馬遼太郎が描く戦国時代」展 
 2005.12.13~2006.5.28
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          「街道をゆく 三浦半島記」展 
 2005.4.26~2005.10.30
-           
          
 
          「挿し絵でみる司馬作品」展 
 2004.11.2~2005.4.24
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          「司馬遼太郎が描く 幕末の世界」展 
 2004.3.30~2004.10.31
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          『街道をゆく―濃尾参州記』展 
 2003.10.28~2004.3.28
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          『二十一世紀に生きる君たちへ』展 
 2003.2.18~2003.8.31
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          「私の好きな司馬作品」展 
 2002.10.29~2003.2.16
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          『竜馬がゆく』展 
 2002.4.23~2002.8.30
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          「自筆原稿にみる司馬作品」展 
 2001.11.1~2002.4.21














































